『エヴァルト:金管五重奏曲 全集』
ブログ開設から早くも3ヶ月、所属している吹奏楽団体の練習が忙しくなったりした為、全く記事を書く気が起きませんでした。
今日は、ふと、机の上にCDを置きっ放しだったので、今日こそ書かねば!というきもちでこのCDについて書いてみようと思います。
Sounds of St. Petersburg [Import]
- アーティスト:Stockholm Chamber Brass
- 出版社/メーカー: Bis
- 発売日: 1994/10/12
- メディア: CD
このCDは金管五重奏曲の第1番を演奏する機会があったので参考にと手に入れました。
〜エヴァルトの紹介〜
1860年生まれのサンクトペテルブルク(ロシアのバルト海沿い)出身で、12歳頃から同市の音楽院にてコルネットを習い始めます。また、同じ頃に、チェロ、ホルンなども手がけたそうです。当時のサンクトペテルブルク(ロシア帝国の首都)には、我らがトランペット奏者必携の『アーバン金管教則本』でおなじみのジャン・バティスト・アルバン(1825〜1905)が毎年のように演奏会で訪れた記録もあり、少年エヴァルトが金管楽器に対する情熱を募らせたろうことはいうまでもありません。そして驚くことに彼は本職が音楽家ではなく、技師だったのです。当時のロシアでは本職の傍、音楽家をする人も多く、有名な人でいうと、海軍軍人であったリムスキー・コルサコフ、化学者ボロディン、近衛士官のムソルグスキーなどがいます。エヴァルトは、教師として工業学校に勤め、晩年では工業学校校長に任命されました。
〜金管五重奏曲について〜
エヴァルトの金管五重奏曲ですが、あまり激しくなく、極寒のロシアということもあり、広いリビングや客間の暖炉の前で演奏しているような情景が4曲通して浮かんできます。
『金管五重奏曲 第1番』
一番有名な楽章で、作曲年は不明ですが、初出版は1912年と記録が残っています。当初の編成は、コルネット×2、アルトホルン、テナーホルン、チューバという編成でした。ちなみに低音部をバリトンとチューバにさらに分けた6重奏バージョンもあり、『金管合奏のための交響曲(Symphony or Brass Choir)』という題名のものもあります。ちなみに僕が演奏したのはこの6重奏バージョンのものでした。
『金管五重奏曲 第2番』、『金管五重奏曲 第3番』
この2曲は長い間存在が知られていませんでした。この2曲を広める鍵となったのは、サンクトペテルブルクに研鑽できていた、ノルウェーのホルン奏者であるヴェクレでした。彼がサンクトペテルブルクから持ち出し、その後親交のあったエンパイア・ブラスの手に渡り、彼らの卓越したアンサンブルによって1970年に初録音されました。この2曲も詳しいことがわかっておらず、次の4楽章までの間に書かれただろうという推測しかできません。
『金管五重奏曲 第4番』
この曲は実は彼の書いた『弦楽四重奏曲』の編曲で、この原曲は1983年に行われた室内楽コンクールで入賞した彼の出世作ともいわれるものです。(審査員はチャイコフスキー、リムスキー・コルサコフなど錚々たるメンバー)この編曲は、エヴァルトの編曲といった証拠がないのですが、初演時にチューバ奏者としてエヴァルトが参加しているという記録を見ると彼の編曲であった可能性が高いと思われます。本当にエヴァルトはコルネットからホルン、チューバまで、一通りの金管楽器ができていたようで、羨ましい限りです。
〜最後に演奏団体について〜
演奏は「ストックホルム・チェンバーブラス」という1985年にスウェーデンで結成されたアンサンブルグループです。結成当時は「フラカッソ金管五重奏団」という名前だったそうです。
受賞歴としては、1988年にフランスのナルボンヌで行われた国際室内楽フェスティバルでの優勝を脚がけに、ヨーロッパ各地で活動しています。
・メンバー
トランペット:ウルバン・アグナス(Urban Agnas)
Monette C Trumpet MC-61 / Monette Mouthpiece C'3
トランペット:ヨアキム・アグナス(Joakim Agnas)
Monette C Trumpet MC-61 / Monette Mouthpiece C-3
ホルン :アンナ・アヘルソン(Anna Axelsson)
Alexander 200 Ascending Horn / Stork(Orval Model) Mouthpiece
トロンボーン:ヨナス・ビルンド(Jonas Bylund)
Conn 88H Trombone / Bach 4G Mouthpiece
チューバ :レナルト・ノルド(Lennart Nord)
Hirsbrunner F-Tuba / Yamaha Model 66 Mouthpiece
記事がいきなり長くなりましたが、ぜひ聞いてみてください。
皆さんのご感想も教えていただけると嬉しいです。
それではまた、いつの日か。
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